Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

『新装大回転玉手箱』上演中 ―アルマイトの栞 vol.61

090611.jpg 劇団 黒テント『新装大回転玉手箱』は6月5日(金)にどうにか初日の幕を開けたのだが、それにしてもこの舞台で使用している調光卓はどこのメーカなのか。客席後方で、照明の横原さんが何かパチパチと音を立てながら調光していたので、気になってそこへ行ってみたらこんなことになっていたのだった。一瞬、ハモンドオルガンなのではないかと思った。何かの間違いでキース・エマーソンが来たらことである。ステージでいったい何台のハモンドをぶっ壊したか知れたものではないのだ。テント劇場の入り口に「キース・エマーソンお断り」と貼り紙をしておくべきである。いや、むしろ「これはハモンドオルガンではありません」と書いておくべきか。ちなみに、横原さんは決して明和電機のメンバーではない。

で、初日は雨だった。どうも、僕がこのテント劇場に足を運ぶと雨なんである。それに薄々気付いている人が何人か居た。なんだか疫病神のようで申し訳無いのだが、このテント劇場が雨の時にどうなるかを熟知してしまった黒テントの人々である。一応は、大事に至ることはなかった。とは云え、芝居をしている役者にとってはかなり辛いものがあるようで、明らかに舞台上で足が滑っているのである。濡れると滑りやすい素材を美術に持ち込んだ僕が悪いのだろうか。ともかく役者が滑っているのだ。演出なのかと見まごうばかりの滑り方をした役者が何人も居た。そして、高い湿度のせいで、明らかに楽器のチューニングが怪しいことになっている。その状況を、わけのわからない「勢い」で乗り切って居る黒テントの人々だ。「こんな曲なんですよ」と云わんばかりの、誰も抗弁する余地の無い勢いである。

ところで、初日の公演は客層が不可解だった。およそ黒テントなんて劇団の芝居に興味の無さそうな、女子大生らしき人が大勢居た。開場して客席が埋まっていくほどに、妙にキラキラした女の子が増えていくのだ。広い木場公園で、もしかすると目的地を間違えたのではないかと思うような光景である。そして開演までの間、お互いに菓子を分け合ったりして愉しそうにはしゃいでいるので、やはり心配になる。『堂本兄弟』の公開収録だとか勘違いしていないか。黒テントの男優陣には申し訳ないけれど、「光一クンは出ませんよ」と声を掛けそうな気分になった。しかし、何だかわからないが、彼女たちは最後まで舞台を観て居たので、この芝居が目的だったらしい。

そんな初日の公演を、テントに当たる雨音の中で観ていた。芝居の中に雨のシーンがあるのだけど、雨の音の中で雨音のSEを鳴らすってのはどうなのでしょうか。いろいろとわけのわからないことのある『新装大回転玉手箱』東京公演は6月14日(日)まで。チケット、まだ有ります。

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