Tetra Logic Studio|テトラロジックスタジオ

建築・舞台芸術・映像を中心に新しい創造環境を生み出すプラットフォームとして結成。プロジェクトに応じて、組織内外の柔軟なネットワークを構築し活動を展開。

箱にしたい ―アルマイトの栞 vol.133

YouTube公開の映像『半村良の空想力』は約24分なのだが、ある人から「CMを抜いた30分番組と同じような尺です」と云われた。たしかに、そうだ。偶然だが「30分番組」になっていた。それならば、同じ尺で二本目を作って「第2話」と云い張ろうか。無体なことをアタマが勝手に考え始め、すると妄想が一気に加速した。「全12話でDVDボックスにしたい」。自宅で3枚組DVDボックス『カリキュラマシーン ベストセレクション』を探した。’70年代放映の、不条理に満ちた、しかし教育番組だ。「幼少期の情操教育」に効果が有るなら、自分の大半を形成した主犯はコイツが疑わしい。なにせ、所有する唯一のDVDボックスがコレだ。どうかと思う。

ともかく、他にDVDボックスの参考例が手許に無いので、『カリキュラマシーン』を引っ張り出し、外箱などの観察を始めたら、いつしか本編を視聴していた。告白すると、じつは今でも暗算をする時に『カリキュラマシーン』の算数の画面がアタマに浮かぶ。ソロバンなどが浮かんだことは、一度も無い。このあたりに、計算力に関しての自分の限界がある。いや、だから、そんな話はどうでも好いのだ。DVDボックスの話だ。『カリキュラマシーン』は15分番組で、1枚のDVDに8回分が収められている。つまりディスク3枚で24回分になるのだが、30分番組をDVDシリーズにした商品であれば、一般的に1枚のディスクに4回分収録である。それで「全12話で3枚組DVDボックス」と妄想したのだ。

「全8話で2枚組じゃダメなのか」とは思うものの、2枚では「ボックス感」が出ない。「箱っぽい」感じは、やはり最低でも3枚組からだ。何の根拠も無いのだが。では、全12話にするための残り11話をどうするのか。ネットで公開した『半村良の空想力』は、とりたてて具体的なイメージの無いまま映像作家の大津伴絵さんと撮影を始め、完成するまでに一年を要している。一本の映画が仕上がってもいいくらいの時間を掛けて、30分番組の1回分を作っていると云うのも、考えものだ。「最初は全てが手探りだったから」と、もっともらしい苦労話めいた美談をデッチ上げることもできるが、それにも限度がある。その状況が変わらなければ、残り11回分の制作に11年が必要だ。冗談ではない。

第2話まではネタも有りそうだが、その先の10回分は怪しい。加えて、DVDボックスには特典映像が付き物だ。いっそ、残り10回分が全て特典映像のDVDボックスはどうか。特典映像の常套手段は「制作秘話」だが、30分で10回に及ぶ制作秘話などあるだろうか。そもそも「秘話」と呼べるような事柄があったろうか。「ロケ地のドトールは全て制覇した」。どこが「秘話」だ。制作秘話では全く埋まらない。となると、他に思い付く特典映像は「予告編」集である。第2話までは本編を作り、残りは存在しない第49話くらいまでの予告編だけ作って埋め、第2話が終わると2.5枚分の予告編が延々続く3枚組ボックスだ。それを観て全49話の幻覚を試みる。成功したら、きっと自分はアタマがおかしいのだ。

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